メランコリーキッチン
どうしてもアパートを更新したくなかったとか、アパートで人が死んだ履歴があることを知ったとか、 ただ単純に不便とか。
そんな諸事情で引っ越して、年末からクィアフレンドリー(※1)なシェアハウスに住んでいる。
今のお家は2階建+屋根裏部屋で6LDK。
どういう意図で建てられたのか知らないけど、天井が高くて階段上の電球は手が届かない。昔は霊的な雰囲気が強くて、心霊現象じみたものもあったらしい。
木目の壁に無印良品のオーガニックコットンがよく似合う、ログハウス風で温かい、不思議な家だ。 今年で2周年となる。
あかぶのまさんのセンスが光る pic.twitter.com/PFXM0KnoF9
— ひろの (@akazunoma) 2016, 1月 30
この家のキッチンはクオリティが高い。
コンロが3口あるとか、流しが広いとか、そんなキッチンのスペックでいったら都内のシェアハウスではダッチオーブンがついている妖怪ハウスがダントツで高いけど(ezoeさんがよく豪快な料理を作ってくれたね)スペックとクオリティは比例しない。
ちょっと違うけど、良い絵の具だけじゃ素敵な絵は描けないみたいな、スペックだけじゃ補えない仕事の良さみたいなのがクオリティになる。
この家のキッチンはだいたい横2mにコンロ3口、流しは横50cmぐらいでグリル付き。 収納はたくさんあって、スペックでいったらこの辺は住宅街で戸建ばかりなので、平均そこそこといったところ。 調理器具は一通り揃っていて、大さじ小さじはもちろんのこと、菜箸木べらフライ返しボールトング、オーブンレンジなど。充実している方だと思う。
私が特別好きなのは、そういうスペックの部分ではなくて、クオリティです。ユーザビリティとも言うかもしれない。
食器を拭くためのふきんと台拭きがきちんと決まっていて、すぐ取り出せるところに替えがあったり、いつでも取り替えられるように排水溝と三角コーナーに掛ける網が備え付けられていて、重曹を薄めたスプレーが置いてあって、上白糖,三温糖,薄力粉,その他が取り出すいようにパッケージされていたり、etc。
クオリティの高い台所だ(住人の許可はとりました) pic.twitter.com/TJ8hG4Yhsw
— ひろの (@akazunoma) 2015, 8月 30
手の届くところに物があって、考えるところに物があって。誰がそうしたのかは知らないけど、きっとあの人とかあの人だろう。あの人は几帳面だし、あの人は優しいから。
そんな、今まで住んできた人々の仕事が感じられるところが好きです。性格が感じられるところが好きです。 キッチンの隅々まで人の手が行き届いて、息づいて、居心地が良く、温かい。好きです、好きです。とても好きだしもはや愛しいです。
息苦しく、普通になることすら難しい世の中ですが、色んな人々が暮らしていて、多様性はたくさんの幸せの形を生むと信じています。 そんな幸せのひとつとしてこの家があるようにと願います。都会に挟まれて磨耗した精神を、孤独に囲まれて荒んだ心を癒せるように、自分にいつでも戻れるように。
出て行った人もこれから来る人も、たまには戻ってきて料理をしよう。みんなでいただきますってしよう。
文京区ハウス小日向、住民募集中です。
ご連絡は@m_k_house まで。
※1 クィアフレンドリー…性自認が既存の性別の枠組みにあてはまらないまたは流動的な人々に対し開かれた家を目指しています。
※2 文京区…駅徒歩5分圏内。丸の内沿線はもちろん、池袋や日比谷沿線沿いにもアクセスが良く、快適に通勤,通学にご利用頂けます。
※入居ご相談,ご見学随時受付中です